公開日: |更新日:
不動産の相続場面においては対応事項や検討事項、必要な手続きなどがたくさんあります。このページではそういった相続に関する内容のうち、「土地の相続放棄はできるのか?」という疑問について解説しています。
土地を相続した場合、中には「居住地から遠すぎて管理しづらい」など相続のメリットが感じられない場合もあります。このようなケースでは、土地の相続を放棄したいと考える方もいるでしょう。
しかし「土地のみ」の相続放棄はできません。これは、相続放棄を選択する場合には預貯金なども全て放棄する必要があるためです。以上から相続放棄を検討する場合には、メリットとデメリットをよく考える必要があります。
昨今の土地に対するニーズの低下などにより、相続した土地を放棄したい人が増えているといわれています。このような面から相続の際に登記が行われず、「所有者不明土地」発生の一因になっていると考えられています。
以上のような背景から、相続した土地の所有権を国庫に帰属させる制度「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。この制度により、相続や遺贈で土地を相続した人が、要件を満たした場合に土地を国に引き渡せます。
相続や遺贈にて土地を取得した相続人のみ申請が可能です。共同所有の土地も申請できますが、共有者全員による申請が必要です。
以上から、生前贈与を受けた相続人や、売買等で自ら土地を取得した人、法人などは申請ができません。また制度を利用できるのは、法令で定める「引き取れない土地の要件」に当てはまらない場合のみとなります。
相続土地国庫帰属制度の大まかな流れは下記の通りです。
下記の資料を準備し、法務局へ相談します。
法務局・地方法務局(本局)の窓口にて対面または電話で相談します(1回30分、事前予約制)。土地の所有者本人に加えて家族・親族も相談できますが、相談者と無関係の土地の相談はできません。
相談先は、申請する土地がある都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)ですが、土地が居住地から遠いなどの場合、近くの法務局・地方法務局(本局)での相談もできます。
下記の申請書類を作成・用意し、提出します。
申請先は、土地の所在地を管轄している法務局・地方法務局の本局(支局や出張所には提出できません)で、窓口へ持参または郵送で提出します。
申請が承認されると、帰属の承認通知と負担金納付を求める通知が申請者に届きます。負担金は通知到達から30日以内に納付を行い、納付すると土地の所有権が国に移転します。
もし納付金を期限内に支払わないと国庫帰属の承認の効力が失われるため、申請し直す必要があります。
申請時は、一筆の土地当たり14,000円の審査手数料を納付します(審査にて却下や不承認の場合、申請を取り下げた場合も返還されません)。
また承認された場合は、標準的な管理費用を考慮し計算された10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付します。負担金は1筆ごとに20万円が基本ですが、同種目の土地が隣接している場合には負担金合算の申出ができます。
ただし、一部市街地の宅地や農用地区域内の農地、森林などには面積に応じ負担金が算定されるものもあります。
出典:
政府広報オンライン
(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202303/2.html)
法務省(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html)
相続を放棄する場合、必ず相続人全員に対して意思を伝える必要があります。相続人は基本的に被相続人(亡くなった方)の親族であり、配偶者や子ども、両親、祖父母、孫、兄弟姉妹などになります。相続人は法律で相続順位が定められており、相続順位が高い人から順番に相続が発生する形となります。この順位の高い人が相続を放棄するとその次の順位に相続が発生することとなるため、放棄をする際には明確に意思を示す必要があるのです。
土地の相続放棄をすると固定資産税や維持管理費などの支払義務が発生することはありませんが、次に引き継ぐ相手が見つかるまでの間の土地管理義務責任は課せられます。相続人全員が相続放棄をした場合、土地などの財産は国ものとなりますが、管理義務責任は残りつづけることとなるため相続人の中から「相続財産管理人」を選任して管理しなければなりません。
相続放棄を行うにあたっては、相続の発生(被相続人が亡くなってから)3か月以内に家庭裁判所へ申し立てなければいけません。これは相続人ごとに手続きする必要があり、相続放棄をすると「初めから相続人ではないもの」とみなされることになります。そうなると土地や借金のようなマイナスの財産などのような相続を放棄したい対象のものだけではなく、預金などといったプラスの財産も引き継ぐことができなくなりますので注意が必要です。管轄の家庭裁判所に申し立てを行うと「受理通知書」「受理証明書」の発行を受けることができ、これによって相続放棄が受理されたことが証明されることになります。
参考費用 (※1) |
22万円 |
無料 相談 |
何度でも 可能 |
休日面談 対応 |
〇 |
夜間面談 対応 |
21時まで 対応可 |
※宅地建物取引士の資格を保有する税理士が在籍しており、かつ書面添付制度に対応している事務所の中から、無料相談にも応じてくれる事務所から選定。
※1:※資産5000万円以下の費用