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相続における限定承認とは何か

相続では、相続人のプラスの財産だけではなく、マイナスの財産(借金など)も引き継ぐことが原則。マイナスの財産が大きい場合は相続放棄ができますが、相続放棄をすると、残しておきたいプラスの財産も一緒に放棄しなければなりません。もし、残しておきたいプラスの財産だけを相続し、残りのマイナスの財産を放棄したいならば、限定承認という選択肢を検討してみましょう。

限定承認とは

限定承認とは、被相続人のプラス財産よりマイナス財産が多い場合において、プラス財産を全て相続し、そのプラス財産に相当するマイナス財産のみを相続する特殊な手続きを言います。差額として残ったマイナス財産は放棄する形です。
プラス財産に相当するマイナス財産を相続するため、評価額だけで考えれば、相続財産はプラスマイナスゼロ。ただし、故人に対する思い入れのあるものを(共に住んだ土地・家など)残しておきたい場合や、債権者に対して少しでも責任を果たしたい場合には、限定承認は有効な手段とされています。

参照元:e-Gov(民法922条)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

「限定承認」と「相続放棄」の違い

プラス財産、およびプラス財産に相当するマイナス財産のみを相続する手続きが限定承認。一方、プラス財産もマイナス財産も全て放棄する手続きが相続放棄です。
プラス財産に比べてマイナス財産が過大で、かつ、故人に対する思い入れのあるものも特にない場合、一般的には後者の相続放棄が選択される傾向があります。

限定承認のメリット

実質的には相続人に残されるマイナス財産がない

故人に対する思い入れのあるものを残しておきたい場合には、自己資金からマイナス財産を埋めなければなりませんが、評価額という視点に立てば、相続人に残されるマイナス財産はありません。

後からプラス財産が見つかれば実質的にプラスの相続となる

限定承認の手続きを行った後に、追加でプラス財産が発見された場合、事後的に限定承認の内容を変更・撤回することはできないため、結果としてそのプラス財産を相続する形となります。相続財産の全体像が不明瞭な場合には、限定承認を選択することが有効です。

限定承認のデメリット

プラス財産に含み益があれば課税される

故人から相続人に相続される財産は時価評価されるため、評価額の中に含み益がある場合には、含み益に対して一定の税率で課税されます。特に、不動産を限定承認する場合には注意が必要です。

手元に残したいプラス財産がある場合自己資金から持ち出しが必要となります。

故人に対する思い入れのあるものを限定承認で相続した際には、これを処分して借金を返済するわけにはいきません。結果として、これに相当する借金は、相続人が自己資金で負担する形となります。

土地の限定承認を検討すべきケース

相続財産の総量がわからない

限定承認を行った場合、仮に借入金があったとしてもプラスの財産の範囲内で弁済を行うことから余分な心配をしなくて大丈夫になります。マイナスの財産しかないと思っていたもののあとからプラスの財産が判明するケースもありますが、相続の放棄は撤回することが原則できないことから、相続財産の総量が分からないときには限定承認を行うことが有効です。

事業の相続をしたい

被相続人が土地に紐づく事業を営んでいた場合などにおいては、その事業を相続したいというニーズもあるでしょう。限定承認を行うことによってプラスの財産を上回る借入金の弁済義務をなくすことができることから、事業が「将来性のある資産」と認識できる場合には手放さずに済む限定承認を行うことが有益です。

限定承認の流れ

家庭裁判所への申述

まずは相続人全員で家庭裁判所へ申述を行います。期間は相続の開始があったことを知ったときから3か月以内となっており、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が申述先になります。申述書のほか、被相続人・相続人の戸籍謄本や財産目録などを準備する必要があります。費用としては収入印紙と連絡用の郵便切手で数百円から数千円程度がかかりますが、家庭裁判所に確認しましょう。

官報で公告

限定承認の申述が正式に受理されると、官報で公告されることになります。債権者に対する支払い請求の催告を行うのと、不動産などの換価手続きについての公告になります。

債務の弁済

公告期間は2か月と定められていますが、この期間を満了すると債務の弁済を行います。前述した通り、限定承認においてはプラスの財産の範囲内において弁済を行うことから、相続人が余分な負債を相続することにはなりませんので安心です。

遺産分割

マイナスの財産の方が多い場合にはその範囲での弁済を行って終了になりますが、もしプラスの財産の方が多く弁済してもなお財産が残った場合には遺産分割を行います。ただし、債権届け出期間に申し出なかった債権者や相続人が知らない債権者がいた場合には残余財産についてのみ弁済を受けることができる点や、それでもなお残余財産に余りがあった場合にも申し出があれば弁済に充てる必要があることから、原則手を付けずにおいている方がいいとも言われています。

準確定申告

限定承認は税法上において被相続人から相続人に対する譲渡とみなされることから、準確定申告が必要になります。申告期限までに手続きが間に合わないと思われる場合には期間伸長の申し立てを行うこともできますので、早め早めの対応を心がけましょう。

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